オンライン変換サイトに会社の書類を上げても大丈夫か

取引先からの見積書を JPG にしたいのに、会社のパソコンに道具がありません。給与明細の PDF が重くて送れません。「pdf 変換」で検索すると無料のサイトが並びます。

Ashton
セキュリティ

先に結論を書きます。会社の書類は、ファイルをサーバーへ送るタイプのオンライン変換サイトには上げないのが原則です。危ないのは「変換」ではなく「送る」ほうです。ファイルをサーバーへ送らずブラウザの中だけで処理する方式なら、ファイルはネットワークに出ないので、この危険自体が生じません。私たちの EZPZ File はその方式で、ファイルを送る工程がありません。

ファイルを放り込めば数秒で結果が返ってきます。便利です。ただ、いま放り込んだファイルがどこへ行ったのかを考える人はあまりいません。多くのサービスはきちんと運営されています。それでも書類によっては、そもそも上げないほうがいい場合があります。

オンライン変換サイトの仕組み

大半はサーバーへ送る方式です。

自分のPC
インターネット
相手のサーバーで変換
自分のPCへ
ファイルが他人のコンピューターを一往復します。

ブラウザでファイルを選ぶと、そのファイルがまるごとサービス提供会社のサーバーへ送られます。変換はあちらのコンピューターで行われ、結果を受け取る仕組みです。

この方式が悪いわけではありません。サーバーで処理すれば重い作業も速く終わり、手元の性能に左右されず結果が安定します。その代わり、ファイルが自分の手を離れます。

各社が公表している保管方針

サービス処理方式公表されている保管方針
Smallpdfサーバーへ送信処理から1時間後に削除
iLovePDFサーバーへ送信2時間以内に自動削除
FreeConvertサーバーへ送信SSL で送信、8時間後に削除
AnyConvサーバーへ送信変換後に自動削除
EZPZ File(私たちのサイト)ブラウザ内で処理サーバーへ送信しない

方針は変わることがあります。この表は2026年9月時点のものです。重要な書類を扱うときは、そのサイトのプライバシーポリシーを直接確かめてください。

方針だけ見れば問題はなさそうです。実際これらの多くは長く運営されている正規のサービスで、勝手にファイルを覗いているという証拠もありません。

検索上位の似た名前のサイト

見落とされがちなのが、そもそも自分が開いたのが目的のサイトかどうかです。ヤフー知恵袋には、iLovePDF を検索して開いたつもりが、似た名前の別のサイトだったという相談があります。広告枠や検索結果の上のほうに、よく似た名前や見た目のサイトが出ることは珍しくありません。

  • アドレスバーのドメインを一文字ずつ確かめます。サービス名と少し違う綴りや、余計な単語が付いていませんか。
  • 検索結果の「スポンサー」や「広告」の表示がある枠から入らないようにします。
  • よく使うサービスはブックマークから開きます。
  • 「jpg2pdf は安全か」のように、サービス名ごとに安全かを聞く相談も多いです。名前で判断するより、ファイルがどこへ送られ、いつ消えると書いてあるかを見るほうが確実です。

名前ごとの安全性を聞く相談の例として、jpg2pdf について尋ねるものもあります。

それでも気をつけたほうがいい理由

危うさは「その会社が悪い会社かどうか」ではなく、手を離すという構造そのものにあります。

1. 削除されたか確かめる手段がない

1時間後に消すというのはサービス側の約束であって、利用者が検証できる事実ではありません。バックアップやログに写しが残ったか、委託先を経由したかは、外からは分かりません。

2. 通信の暗号化と保管は別の話

SSL は送信中の盗み見を防ぐ技術です。サーバーに届いたあとは別の問題で、その会社が情報流出を起こせば、預かっていたファイルも一緒に出ていきます。

3. 社内規程に触れることがある

実務ではこちらのほうがよく問題になります。多くの企業や官公庁は、社内資料を外部へ持ち出すことについて規程を持っています。「業務資料を承認されていない外部サービスへ送信しないこと」という条文があれば、変換サイトに契約書を上げた時点でそれに触れます。

サービスが実際に安全かどうかとは別の話です。規程は結果ではなく行為を見ます。

マイナンバー・給与明細は上げない

書類の中でも、マイナンバーが写ったもの、給与明細、源泉徴収票、取引先から預かった書類は、どれだけ有名なサービスでも上げないほうがいいものです。理由は三つあります。

  • 自分だけの情報ではありません。取引先の書類や、扶養家族のマイナンバーが入った書類は、他人の情報を預かっている状態です。
  • 出たときに取り返しがつきません。パスワードは変えられますが、番号や住所、給与の額は変えられません。
  • 会社の規程で、こうした書類の扱いが特に厳しく決められていることが多いです。

Adobe のオンラインツールを使うのも怖いので、いちばん安全なオフラインの方法を知りたい、という相談もあります。こうした書類には、ファイルが端末の外に出ない方法を選ぶのが筋です。

種類例
個人情報を含むものマイナンバー、連絡先名簿、履歴書、人事記録、給与明細
契約・法務の書類契約書、合意書、訴訟資料
財務の書類決算資料、見積書、請求書
未公開の情報開発資料、企画書、社内会議の記録

上げずに済ませる方法

サーバーへファイルを送る変換サイトと、ブラウザ内で処理する方式を左右に並べた図。会社の書類を扱うとき、どちらがファイルを外に出すのかを見分ける助けになる。
左はファイルがサーバーを往復し、右はファイルが外へ出ない。

1. 手元のソフトで済ませる

PDF 二つを結合するあいだにページの外へ出た要求を記録した表。ファイルを含む要求があったかどうかを、ネットワークタブを開く前に確かめられる。
実際に PDF を結合しながら記録した外部への要求の一覧。

Word や Excel の「名前を付けて保存」で PDF にできます。Mac のプレビューでも PDF の結合や削除ができます。変換ソフトを探す前に、いま入っているソフトでできないか見てみる価値はあります。

2. インストール型のソフトを使う

自分のパソコンの中だけで完結します。ただし会社のパソコンではインストール権限がないことが多く、そこで詰まります。

3. ブラウザ内で処理する方式を選ぶ

変換プログラム自体をブラウザの中で動かす方式です。インストールが要らず、しかもファイルが外へ出ません。EZPZ File の PDF を JPG にする道具や、PDF の容量を減らす道具はこの方式です。

確かめる方法もあります。開発者ツール(F12)のネットワークタブを開いたまま変換してみてください。ファイルの大きさ分の送信が起きるかどうかが目で見えます。本当に手元で処理していれば、そういう通信は現れません。ファイルを開いてからインターネットを切っても作業が続けば、それも手元で処理している証拠です。

限界もあります。ブラウザのメモリを使うため、非常に大きなファイルや数十個の一括処理は難しく、書式を保ったまま PDF を Word に変換するような重い作業は、いまのところサーバー方式のほうが結果が上です。

社内でよく使われる DocuWorks の .xdw を PDF にしたいときも、オンラインの変換サイトを探す前に、手元で済ませる方法を別の記事にまとめました。

4. 変換しない

単純ですが有効です。相手に元の形式のまま送る、あるいは書類をつくったソフトから直接別形式で保存します。それで済むことは案外あります。

まとめ

無料の変換サイトが危険だという話ではありません。多くはまっとうに運営されていて、公開してよい資料を扱うぶんには便利な道具です。ただ、書類の性質によって判断を分けるのが筋です。

  • 公開してよい資料 → どのサービスでも構わない
  • マイナンバー・給与明細・契約・財務・未公開の資料 → インストール型かブラウザ内処理で
  • 開いたサイトが本物か → アドレスバーのドメインを確かめる
  • 迷ったら → 社内の情報セキュリティ担当に確認する

覚えておくことは一つです。上げる前に「これが外に出たら困るか」と一度問うことです。答えが「困る」なら、別の道を探したほうが賢明です。

会員登録なしで使えるファイル変換

よくある質問

有名な変換サイトなら安全ですか。
長く運営されている有名なサービスは、保管方針をきちんと公表していることが多いです。ただし削除されたかを利用者が確かめる手段はなく、社内規程に触れるかどうかも別の話です。それに、検索で開いたサイトが本当にそのサービスかどうかも確かめてください。
上げてしまった後にできることは。
そのサイトのプライバシーポリシーで削除の時期と問い合わせ先を確かめ、削除を依頼できるなら依頼します。会社の書類なら、隠さずに社内の情報セキュリティ担当に伝えるほうが、後で大きな問題になりません。
ブラウザで処理するツールとは何ですか。
変換のプログラムをブラウザに読み込み、自分のパソコンやスマートフォンの中で処理する方式です。ファイルはサーバーへ送られません。開発者ツールのネットワークタブで、ファイルの大きさ分の送信が起きないことを確かめられます。
変換サイトは実際にファイルを見ているのですか。
まっとうなサービスなら人が中身を開く理由はなく、多くは自動化されたサーバーが処理して削除します。ただし利用者がその過程を検証することはできません。
ログインが必要なサービスのほうが安全ですか。
必ずしもそうではありません。アカウントを求める理由の多くは、利用量を数えて無料枠を管理するためです。安全性とは直接の関係がありません。

最終更新 2026年10月14日 · 各サービスの方針は変更されることがあります。2026年10月時点の情報です。

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